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やっぱり。私は軽くため息を吐いた。
話の流れからして、何処にも行くあてがないこの子を預かってくれとか言われるんじゃないかと思っていた。
「ん、分かった」
え?
あっさりと答えたブルーノ。少女に近づき、その頭をわしゃわしゃと撫でる。少女はきょとんとした顔でブルーノを見上げている。
「困った時の非常食にはなるだろ」
おいこら。
「待てレト!頼むから杖振り上げるな冗談だ!」
「不謹慎すぎるわ」
ロングメイスを下ろすと、改めて少女を見る。
少女は何も分からない。という表情でブルーノに頭を撫でられ続けている。
「…ヘスティアさん。ヤンさん。どちらかの職場で使うっていうのは無理なんですね」
「残念ながら。ホムンクルスは造る時にそれ専用として能力が特化して作られるもんだし、うちのハンター支所で使うには仕事がこの子には無理だわ」
「我々の所もだ。子供型のホムンクルスは扱えない」
2人の言葉に私は小さく頷いた。
……初めて彼女を見つけた時を思い出す。
あの時手を差しのべたのは、私だ。
「…分かりました。それしかないんですよね」
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