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ごすっ!
条件反射でロングメイスを後頭部に降り下ろすと、「がふっ」とか言う声がしてしばらくすると狼の頭がこちらを向いた。
「…寝込み襲うにしちゃ暴力的じゃねぇか。レト」
睨みつけられたが私は絶対悪くない。
「何故元の姿だ。ブルーノ」
完全に無視して私は放りっぱなしになっていたズボンをブルーノの頭目掛けて投げつける。
「何故って俺が寝る時は元の姿になるのが楽なんだって知ってるだろうが」
「こら待て立つなっ!」
いきなり裸のままベッドから立ち上がったので私は慌ててドアの外へ避難した。
いくら私でも相棒の裸…ブルーノの場合毛むくじゃらの狼だが、見る趣味は無い。
「大体何で裸なんだ!」
「夜暑かったから寝ぼけて脱いだんじゃねぇか?俺が知るか」
私だって知るか。
小さく溜め息を吐いて、言葉を返す。
「私はこれからギルドに行くけどあんたはどうする?」
「昨日飲み過ぎたから寝直す」
ちらりとドアから覗けばブルーノは既にベッドに潜り込んでいた。
さすがにズボンは履いているらしいがズボンに開けている穴から出でる尻尾が、布団の端からぱたぱたと動いているのが見えた。
カチンときた。
「一生寝てろボケ狼!」
ブルーノの様子を見に行こうと思った私が馬鹿だった。
これら一連の流れがだいたいの私達の朝の風景だったりする。
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