刺客

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獣の咆哮。ブルーノが人狼の姿へと変化する。 血を流し続ける肩の傷に食らいつくと、肉の裂ける嫌な音と共に肩の肉を自ら噛み千切り、肉片を吐き出す。 肉片は路上に落ちても白煙をあげている。その中に小さな煌めきを見つけた。 「銀の弾丸…」 呟いた。 身体能力は人間以上だが、以外と弱点の多い人狼族。その最大の弱点が、銀だ。 人狼族の体を造る組織や細胞が銀を受け付けず、体に受ければ先程のブルーノの様に体に重大なダメージを受ける。 普通なら傷を受ければすぐ再生する能力があるが銀で受けた傷は組織が壊死していくため、再生することができない。 そのため、ブルーノは肩の肉ごと体内から銀を取り出したのだ。そのままでは壊死は全身に広がっていく。 銀が取り除かれた事でようやくブルーノの体は傷の再生を始める。 「やっぱり人狼退治は銀が一番だねえ…渡すつもりねえんだろ。なら死にな。亜人が」 男の指が再び引き金を引く。
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