刺客

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させるか! 「グラ・ディエル!」 発動した魔術によって私達と男の間に小さな重力場を発生させる。 急激に強くなった重力に引かれ、銀の弾丸は地面に突き刺さるように落ちる。 男の表情に驚愕。続けて弾丸が発射されるより早くブルーノが動いた。 私とエメを抱き抱え、一気に跳躍する。 軽々と路地を作っていた建物の屋根に上がると、ブルーノはそのまま私達を抱えたまま走り出そうとする。 その足元で建物の瓦が砕けた。 振り替えれば、いったいどうやって上がってきたのか。男が屋根の上に立ち、こちらに銃口を向けていた。 「降りろ」 言う前に、私はブルーノから降りる。 エメを背中に隠しながら、男と距離を少しでも取ろうとする。 「俺さ、亜人大嫌いなんだよな」 銃口を突きつけながら男が歩いてくる。 「てめえらみたいなエルフや人狼とかがなんで存在しているのか意味が分からない。気持ちが悪いんだよ。いい機会だ。死ねよ」 うるさい! 「シード・ブレイク!」 ポケットから出した種から伸びた蔓達が男へ向けて一斉にその蔓を伸ばす。 「エメ!隠れてろ!」 ブルーノに激しく言われ、エメは近くの煙突の影に隠れる。
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