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柊家の朝はこうして始まる。
『木子…朝だよ、起きて…木子はお寝坊さんだね…木子…』
「うぅ~ん雛海くんもうちょっと~」
「呼ばれて飛び出てお兄たまさんじょーう!!」
もぞもぞと布団の中で体勢を変えて二度寝をしようとしたらバーンとドアを開けて入る無神経男、柊彩世。
朝っぱらから大きな音を立てる兄に妹の柊木子はまだ聞こえる男の美声をワンタッチで消し、のそりと起き上がり不機嫌MAXな顔で彩世を見る。
「……兄貴うるさい、朝くらいそのバカでかいアホなテンション引っ込められないの?」
寝起きなりに最大級の皮肉を言ったつもりの木子だったが、彩世がドアを開けたまま固まっていた。
うっすらと汗が滲んでるようにも見えた。
さすがに様子が可笑しいので木子は首を傾げてベッドから出た。
それにハッとした彩世はちょっとずれた眼鏡を元に戻し、恐る恐る木子の部屋に入る。
「……きっ、きき…木子?さっきの声は…」
「え?あれ…」
なんかプルプル震えてるから嫌な予感がしながらも、机に置いてある耳栓を無言で掴み自らの耳に捩じ込んだ。
「木子がとうとう我が家に男を連れ込んだぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
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