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「とはいえ、君にその有り様を語ったところで理解することは到底かなわぬであろうよ」
「・・・そりゃあ」
「そうですけど」と続けると椿は口を尖らせた。反論したい気はあるが事実そういった世界について理解しきれていないことは自分でもわかっていた。
彼女はどこにでもいる一介の女子高生と変わりはない。そんな人間が突然オカルトの世界へと足を踏み入れるのは難しい。
「でもいつか、私にもそういう世界のことを教えてくださいよ」
ただ一つ、椿がその他一般の学生たちと違うところといえば彼女は烏丸が言う魂や念の理というものの存在を疑わなかった。
例え学生ではなかろうと烏丸の話を聞いた者は大抵さっきの婦人のように呆気にとられて帰っていくか、狂言だと嘲笑う。しかし椿はそれをしなかった。
理由は自分でもわからなかったが、ただなんとなく烏丸から発せられる言葉の一つ一つに妙な信憑性のようなものを感じたからとしか説明できない。
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