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ただ、この店で閑古鳥が調子よく鳴いているのは土地だとか売っている物だとかそういった理由だけではないと椿は踏んでいる。それは商品などではなくもっと根本的なもの。店主である。 椿は立て付けの悪い引き戸を強引にこじ開けた。 何を隠そうこの骨董屋の店主であり、自分の雇い主である男、烏丸右京(カラスマウキョウ)は 「何ですって!?もう一度言ってみなさいよアンタ!!」 「えぇ何度でも言いましょうじゃありませんか。こんなゴミを買い取る気はないと言っているんですよお客さん」 ――些か、いや、相当な変人である。
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