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「あ……はい」
『病気だから』
そう、わかっているはずなのに、何とも言えない感情が私の中で渦巻く。
その『何か』は、私にもわからない。
わからない、フリをしているだけ……
「えー……その、鳥居は今まで通り膝を痛めていることにするよな?」
先ほど、冷静さを取り戻した私は思い出した…
膝を壊してることにしているのだった。
忘れていた
というより……
忘れたかった――
なんて、無理なのに……
「はい、勿論です!」
「体育でこういうことがあるとわかっていながら、対策をしなかった俺達教師が悪いよな~…」
『すまない』
先生の口元がそう動く前に私は言葉を発する。
「大丈夫です!……それで、私はどうしたら…」
「ああ、膝を壊しているからみんなが走っている間は歩く、でどうだ?」
先生が言うには、女子は100のトラック、男子は200のトラックで走っているらしい。
その中で私はトラックの内側を歩く……ということだった。
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