15/16
前へ
/104ページ
次へ
「あ……はい」 『病気だから』 そう、わかっているはずなのに、何とも言えない感情が私の中で渦巻く。 その『何か』は、私にもわからない。 わからない、フリをしているだけ…… 「えー……その、鳥居は今まで通り膝を痛めていることにするよな?」 先ほど、冷静さを取り戻した私は思い出した… 膝を壊してることにしているのだった。 忘れていた というより……   忘れたかった―― なんて、無理なのに…… 「はい、勿論です!」 「体育でこういうことがあるとわかっていながら、対策をしなかった俺達教師が悪いよな~…」 『すまない』 先生の口元がそう動く前に私は言葉を発する。 「大丈夫です!……それで、私はどうしたら…」 「ああ、膝を壊しているからみんなが走っている間は歩く、でどうだ?」 先生が言うには、女子は100のトラック、男子は200のトラックで走っているらしい。 その中で私はトラックの内側を歩く……ということだった。
/104ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加