#3

40/51
前へ
/150ページ
次へ
「耕磨さん」 「猛? お前、猛か」 「お久しぶりです、耕磨さん」 「おお、久しぶりだな。最後に会ったのは小学生の頃だったか。元気にしていたか?」 「はい。耕磨さんも元気そうですね。隆助さんから聞いてます。忙しくしているそうですね」 「ははっ。猛も労い方を覚えたようだな。しっかりした社交性は如月さんに似たようだ」 「へへっ」 「成長したのは内面だけじゃない。だんだんと顔付きが洋大さんに似てきた」 「俺も今年で高校生ですからね。いつまでも可愛いじゃ困りますよ」 「言う事も一端か。ははっ。こいつは将来が楽しみだ」 「耕磨さん、どうしてここに? 学園に何か用があって来たんですか?」 「まあ、そんなところだ。優秀な人材を自衛隊ばかりに取られたらかなわないからな。ちょっとイメージアップを計りに来たんだよ」 「ああ、なるほど。ヘッドハントしに来たんですね」 「バカ、それを言うならスカウトだろ。まあ、その下見も兼ねて、ってところだな」 「おおっ、カッコいい」 「なんだよ、お前。大人になってきたと思ったらやっぱ子供だな」 「そりゃあ耕磨さんから見たら俺は子供ですよ。当たり前じゃないですか」 「自分で物知らずな子供っぽいところを露呈するあたり、威張っても不恰好だっての」 「うっ…」 「人の理屈を真似て本人に勝てると思うな。そこもまだまだ子供だな」 「ちぇっ…」 「まっ、察しが良いのは荒削りの中の及第点と言ったところか。お前ならすぐに理屈でも一端になれる」 「へいへい、まだ口達者なだけですよ」 「そう拗ねるな拗ねるな」 「大槻さん」 「ああ、すぐ行く」 「あっ、すみません。仕事中に呼び止めて」 「猛にそう言われると不思議なもんだな。小さい頃は仕事中も関係なしに突撃してきたのに、複雑な心境だ」 「そんな昔の事まで掘り返さないでくださいよ」 「わかったわかった。じゃあな」 「耕磨さん! 今度、家に遊びに行ってもいいですかっ?」 「おう。進学祝いを挙げてやらぁ! ついでに翔らも連れてきてやれ!」 「おっす!」
/150ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加