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「学園長。管理局から大槻さんが来られました」
「わかった。通してくれ」
「はい。どうぞ、お入りください」
「失礼します」
「東京からよく来てくれた。疲れてるだろう、ソファに腰掛けてくれ。部下の二人も足を休めるといい」
「はい」
「ありがとうございます」
「さて、さっそく本題、と言いたいところだが……大槻くん。昇進おめでとう」
「ありがとうございます、秀也さん」
「今日は仕事という事で何もお祝いは用意できていないんだが…」
「いいですよ、そんなもん。秀也さんにはそれ以上にお世話になってます。気持ちだけで充分ですよ」
「そうかい? 申し訳ないね」
「なんだったら、今度いいお酒を持っていきます。そん時、お邪魔させてくださいよ」
「じゃあ、その時にでもまたゆっくりと学問の話でもしよう」
「楽しみにしてます」
「君も相応の立場に就いた事だ。これからは忙しくなる。あまりゆっくりと話す事もできなくなってしまうな」
「お茶が入りました」
「ありがとう。これはまた良い香りだな」
「学園長が母国から取り寄せた茶葉をブレンドしたものです。これを飲めばリラックスできますよ」
「この二人にはうってつけってわけだ」
「大槻さんが気儘なだけでしょう」
「口に合うかはわからないが、僅かな時間でも気持ちを落ち着かせてくれ」
「いただきます」
「お茶菓子もありますよ。これはお母さんからです」
「はは……えらく歓迎されたな」
「歩美には、大槻くんに気を遣わせると言っておいたんだけどね…」
「まあ、せっかくの歩美さんの真心だ。有り難くごちそうさせてもらいます」
「私も手伝ったので、どうぞ召し上がってください」
「裕実ちゃんも手伝ったのか。それじゃあ真心二乗で有り難く頂くとしようかな」
「大槻さん、それじゃあオヤジの発言だ」
「九条、誰がオヤジだ。誰が」
「大槻さんはとても優しいおじ様ですよ」
「裕実ちゃん…?」
「裕実、あまりからかうな」
「は~い」
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