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元治元年
新月の夜の出来事だ。
家の屋根を走る人影があった。
だが、今宵は新月。
誰もその影には気づかない。
それに人通りも少い。
それが手伝い、なんの問題もなく人影はある敷地内に降り立った。
門には、こう記されていた。
"新撰組屯所"
屋根裏に入りある部屋の上で動きを止めた。
ーカタン
下手をすれば聞き逃すぐらいの小さな音を板で立てた。
「入れ」
部屋の主は、たいして驚きもせず、しかも部屋に入れるではないか。
「報告に参りました」
どうやら、彼はこの男と知り合いだったようだ。
それであの反応か。
「ーー以上が今日ありましたことです」
「そうか…山崎。
お前はもう休め」
「御意」
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