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一週間後、俺はあそこを退院し、学校に呼び出された。
大人は安否確認より先に、何故あんな事をしたかとか、学校が大変なことになってるだとか言ってきた。
つまり、俺より先に学校の信頼を優先してるわけか。
やはりあのとき、まっすぐに下に落ちるべきだった。
勢いをつけたから、下の大木が俺をかばったのだろう。
俺は…なんて無力なんだ。
なんて…この世は残酷なんだろうか。
もう一度、あの場所に行…
「だめぇぇ!!!」
頭をもやもやさせてると、急に俺の腕を誰かが引っ張った。
勢いがあまり、俺はソイツと廊下に倒れ込んだ。
「いっ…てぇ…」
「だっ駄目だよ!早まっちゃ!!」
ふぬけた声に顔を上げると、そこには見たことのある顔があった。
「あんた…たしか…」
「江橋、江橋修太郎。中学からの同級…じゃなくて!ちゃんと前見なきゃ!」
きょとんとしている俺を後目に修太郎はやけに慌てている。
さきほどの方向を見て、俺はやっと気がついた。
その先は階段で、古くいろんな所が欠けていた。
もしかしたら、俺はまたこの世界から消える可能性を失ったんじゃないか?
そう思い、俺は修太郎を目の前にため息をついた。
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