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午後九時ちょっとすぎ。俺は自宅で独り、パソコンの前に座っていた。
家には誰も帰ってこない。
父は海外に転勤、母は違う男とどこかへ消えた。兄姉は俺を捨てて何処かへ引っ越した。
金は父から送られてくる。しかしあまり使わない。俺独りじゃ、大金すぎる。
だれも、俺を見てくれていないのだ。
[現実では出来ないことが出来るんだ。]
ふと、修太郎の言葉が頭をよぎる。
少しだけ、と思いヘッドフォンをパソコンにさした。まだ頭には着けていない。
すると、画面に注意事項らしき文らしきものが出てきた。
*独りになれる環境でプレイをしてください
*プレイ中にヘッドフォンを抜かないでください。身の危険につながります
*立ってゲームを始めないでください。
それ以外にもいろいろ書いてあるが、関係のないものだった。
「ここなら…俺は変われるのか?」
ふと呟いて、ヘッドフォンを付ける。
そして、ゲームのスタート画面まで進めると、息をのみ、スタートボタンをクリックする。
「っ!?」
途端に目の前がグラリとゆがむ。ヘッドフォンについているフィルターが起動し、目の前を眩ませる。
(コレが、ゲームの中に入るって…ことなの…か…?)
次第に意識が遠くなり、椅子にもたれ掛かった。
気絶というより眠気におそわれる感じだろうか。そのまま目を瞑り、ヘッドフォンに意識がとんでいった。
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