一章/絶望、希望

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電子音の中、俺は目を覚ました。辺りは真っ白で、自分以外は何もない。 (本当にゲームの中に入ったのか?ということは…) 次の展開を予想すると、大きなパネルが目の前に現れた。どうやらユーザー登録らしき設定画面のようだ。 (先に外見…か?ユーザー名は後回しだ。) そう考えると、さっさと外見の設定を選択していく。 アシンメトリーのGジャンとパンツ、シンプルなモノトーンのTシャツ。瞳を水色に変えて黒の首輪をつける。髪は黒をメインに、前髪のみを白くした。 (…さて。) ため息をつくと、ユーザー名を考える。本名は禁止されているため、だんだん俺は考えるのが面倒くさくなってきた。 …ふと、ある神の名を思い出した。古代ローマの悪神…阿修羅 俺は音声登録ボタンらしき画面をタッチし、悪神の略名を名乗った。 「ユーザー名…シュラ…」 名前の部分に「シュラ」の文字が入り、次の選択へと進む。 「…武器…か。」 目の前にいくつかの武器が浮かぶ。銃、槍、ダガーなど、種類はそれぞれだ。 その中の一つに、俺の目が止まる。円状に手持ちが曲がり、刃はやや広めの剣。年期を感じるが、良いものには違いない。 その剣がなぜか、俺を求めているように感じた。つられて剣を手に取ると、体に稲妻が走った。 (なんだ?なんか…不思議だ。違和感がない。) 剣をそのまま持ち、最後の選択へと進む。最後は、どうも本拠地となる町の選択のようだ。いくつかゲートが用意してあった。その一つ、フローリアスシティのゲートの前に立つ。 (変われるのか、この俺が?こんな腐った世界の…PCゲームなんかで?) この先に行ったら、ゲームが始まる。決して俺が望むような世界ではないかもしれない。むしろ、現実と同じ世界だったら…。 (…やってやる。) 意を決し、俺は光を放つゲートをくぐった。
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