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羅巌さんッ!!静季は叫んだ。
いきおいよく外に飛び出す北條。
アカムシと対峙すると、符に咒を唱え始める。
「このまえの封滅師。オメェの力、とくと見せてくれや」
『陰陽無極』
紫色の閃光が、火車めがけ飛んでゆく。
火車は涼しげな顔で、空中を薙ぐと、閃光が焼滅(しょうめつ)した。
空中に描かれた符の狐円(こえん)。
迅雷(じんらい)が、周囲の土をえぐる。
北條が腕を振り下ろすと、狐円の符撃(ふげき)がいっせいにとびかかる。
すると、アカムシのまわりを焔火の障壁が立ちふさがり、撃は一掃された。
焔火がおさまると、目の前に北條がいた。
「ッ!!」
北條の右手が、“焔”をまとっている。
「“紅蓮(ぐれん)”を召喚したか―――」
北條は禁術をも犯すほどの封滅師だ。紅蓮を召喚することなど造作もない。
振り降ろす赫刀(かくとう)。
しかし、たやすく止められた―――。
「なにッ!」
「その―――程度か、メガネ」
嗤笑(ししょう)―――――衝撃。
地上が振動する。
アカムシの右腕が―――北條の腹部を直撃していた。
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