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腹が―――燒(や)けるように熱い。
『かはっ』
北條は吐血した。
「オメェは“紅蓮”だが、こっちは“炎獄(えんごく)”だ」
天めがけ、右腕を突き上げた。
北條は空中を舞い、工場のなかまで吹き飛ばされた。
『北條さん!』
静季の問いかけに、まったく反応しない。
「見たかガキィ!!仲間がどんどん倒されてくぞ!オメェもはやくかかってこい。すぐ仕留めてやる」
アカムシの長髪を受けるように、月弥は霊剣を構えた。
「変わった大剣だな。降魔(ごうま)の剣か?」
月弥は答えない。
目の前の敵を撃ち滅ぼすことだけを考えていたからだ。
「それなら―――こっちも武器を使わせてもらおう」
アカムシは、たずさえていた刀を鞘から抜き、火焔を纏わせる。
妖気によって変形する刀は、その場で製鉄され、あらたな武器となって降臨した。
巨大な円月輪(チャクラム)。
円形の周りを、炎獄がうねりをあげている。
かたちは完全に“火の車”であった。
「名付けて『葬転輪牙(そうてんりんが)・火天(カテン)』」
巨大な『火天』の中央に腕をいれ、肩に担いだ。
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