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アカムシは態勢を低くし、火天をかまえる。
全身の遠心力を使い、ブーメランのように投げた。
平行線上に勢いよく向かってくる火の車。
月弥は剣を振り降ろした。
ガガガガガガガッ!!!
じりじりと霊剣と火天が齟齬しあい、火花を散らせた。
火天のいきおいは止まらない。
むしろ、回転スピードは増幅していった。
月弥は歯を喰いしばりながら必死に止まるの待った。
刹那、火天が火柱をあげ爆発した。
「うあッ」
月弥は霊剣とともに、工場の壁まで弾き飛ばされた。
『月弥さんッ!!!!』
かけよる静季。かろうじて意識はある。
いつのまにか、工場には三人倒れていた。
四角い闇から―――おおきな猫が鳴いている。
「冥轟(めいごう)ォォォ!!!」
ふと目を見開くと、目の前に焔輪(えんりん)が迫る。
ドドドドドドドドーーーーーーンッ!!!!!!!
激しい爆裂。工場は跡形もなく消え去った。
一面、焼野原である。
四角いコンクリートにたおれる4つの影。
北條。羅巌。月弥。―――そして静季。
アカムシは、静季を肩に担ぐと、夜闇のなかに溶けていった。
火焔の轍(わだち)が地面を刻む。
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