第19話 【自殺の真相】

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    ◆   ◆   ◆ 夜道(やどう)の真ん中を歩く影がひとつ。 三度笠(さんどがさ)。六角金剛棒を手にしている。 笠の下から、大きな歯がぎらりと剥き出ていた。 風体は風来坊(ふうらいぼう)。だが人ではないようだ。 夜風心地よい澄んだ一本道に、風来坊は一瞬の違和感を覚える。 ―――土をえぐる焔火の轍。 「ぬッ」 風来坊は突然、真横を六角棒で振るう。 どかんっ。 空中でなにかが棒に当たり、すがたを顕した。 “アカムシ”だった。肩には静季をかついでいる。 よろめき、火車は一度急停止した。 アカムシの鼻から、つぅーと血が垂れた。 風来坊は、笠の下から覗く瞳で、キリッと相手を睨む。  
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