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『今だっ!!』
水のウロコは、とどまることなく乱舞(らんぶ)する。
『大鋸水陣界(おがすいじんかい)』
“齧噛(かじかめ)”ッ!!!
無数のウロコの刃が、まわりながらアカムシに迫ってゆく。
刹那―――、水陣は爆発した。
水鱗じたいが、水爆だったのだ。
風来坊は一息つくと、
『御尽力感謝いたす』
と言って合掌(がっしょう)した。
ところが、
アカムシは立っていた。
ふつうならば、すでに粉微塵になっているはず。
「すこーし、効いた」
にたりと嗤い、拳を握ると風来坊へ向かってゆく。
風来坊も、負けじと向かっていった。
両者の属性が反発しあい、激しい爆発を生みだした。
大地は削られ、草木は消滅する。
『ぐあッ』
爆風によって吹き飛ばされたのは、風来坊だった。
放物線を描き、遠くの沼にざばんと落下した。
アカムシの肩には、ふたたび静季が担がれる。
「とんだ無駄骨だァ」
アカムシは眉根を寄せ、いずこかへと去って行った。
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