第19話 【自殺の真相】

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    ◆   ◆   ◆ ひでぇ目覚めだ。 天井の木目。湿気(しけ)た床。 まちがいない。おれの家の床板だ。 それにしても不愉快なのは。 ―――湿布(しっぷ)のにおい。 あらためて言葉にしてみる。 「ひでぇ目覚めだ」 「ん?起きたか月弥」 「気ィ失ってからジジイの顔おがむねんてよ」 「相変わらず非道(ヒド)いいわれようじゃ」 「ジジイ、よくわかったな」 「わしが見つけたんじゃねェ」 「じゃあだれが」 ボクです―――と横から貞吉があらわれた。 「オメェ、あんとき」 ともに工場にいたはず。 「逃げたんです。とっさに」 「怖くてか?」 はい―――貞吉はアタマを掻いた。 「それもありますが。一瞬にして、これは乾坤堂のピンチだと悟ったのです。それで―――与作さんの元へ助けを呼びに」 むくりと、起き上がれなかった。 ヤケドで骨までひしめいている。 全身を包帯で巻かれている。どうりで息苦しいはずだ。 横目をみやると、北條と羅巌もともに横たわっていた。 ふたりともひどいヤケドだ。 「気を失っているだけで、命に別状はありませんでした」 しかし北條は、腹をえぐられた―――。 「間一髪、結界でおのれを護ったんじゃろう。それほど深く食い込んではなかった。おかげで内臓を焼かれずに済んだわい」  
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