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「そんじゃ、行くか」
「うん」
玄関の入り口の鍵を閉めて、学校に向かって歩き出す。
「兄さんと登校するの、久しぶり」
「そうだな……寂しかったか?」
「……うん、正直寂しかった」
瑠奈が突然そんな事を言ってくるので俺が少しからかうようにそう言うと、意外な答えが返ってきた。
「だから兄さんと同じ高校に行けるように頑張った」
「ははっ、瑠奈からそう言われるとは……嬉しいねぇ」
まあそんなに勉強しなくても入れる程度の学校なんだけどな。
しかし、そう思ってたなんて……考えもしなかったな……。
なんて思っていると……。
「おっ! 瑠奈ちゃんじゃないか! こんな所で会えるなんてやっぱり赤い糸で結ばれt――あだだだだっ!?」
「何本折られたい?」
「折る前提!?」
変態野郎、もとい友人が瑠奈に絡もうとしたので間接技を決める。
友人の妹に手を出す馬鹿がどこにいる?
「ったくお前はもうちょい学習能力ってやつを持たないのか?」
「いやだってそこに可愛い娘がいれば普通声掛けるでs――ごめんなさい!」
俺が注意すると、そいつはまだ反論しようとするので拳を握りしめると、即行で土下座しながら謝ってくる。
この変態は照井 氷雅(てるい ひょうが)。小学生からの友人である。
長年見てきているから良いやつってのは分かるんだけど、主にこれだからなぁ……。
「さて、行くか」
「うん」
「待って、置いてかないでええええ!」
氷雅を無視し、瑠奈とまた歩き出すと、氷雅は叫びながら追いかけてきた。
「ったくうるせぇなぁ……」
「だから置いていくって可哀想だと思わないのか!?」
「思わん」
「うわあああああああん!」
見事に無視しながら学校に着くと、氷雅が若干叫びながらそう言ってくるので、俺は即答でそう答えると、ちょっと泣き声混じった声で叫ぶ。
まあこいつが泣こうが俺には関係無いが。
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