Company

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プルルルルと暗い部屋に電話の音が鳴り響く。 その音に反応して近くの椅子に座っていた男が受話器と取る。 「咲良か?」 男は自分に電話を掛けてくる心当たりがあるのか相手の名前を言う。 「ああ。」 案の定それは当たりだったようで、 電話の向こう側の人間はそれを肯定する。 「なんで今更、俺が学校なんかに行かないといけない?」 咲良の言い分はもっともだった。 数年前に“会社”に拾われ、所謂”そういった仕事“をしてきた 咲良には電話の男――リーゼスの意図が分からなかった。 「咲良…私は常々思っていた、 私たち“会社”は君を苛酷に使いすぎている。 私たちは君の時間、命、知恵そのすべてをまるでゴミ屑の様に使ってきた。 それではあまりに君が――」 「それが―」 咲良はリーゼスの言葉を遮りリーゼスに答える。 「それがアンタ達、上の仕事で、アンタ達は下で働く捨て駒の事なんか考えないでいいんだ。」 「………」 リーゼスは咲良の余りの割り切りの良さ― 言ってしまえば、自分の命への執着の無さに息を飲む。 「しかし、それでは―」 「俺は―」 リーゼスのそれでも諦め切れないといった言葉の続きを、 咲良はまたも遮る。 「俺はアンタに同情してもらおうなんて思ってないし、アンタに同情してもらえる程賢い“犬”に成り下がった覚えもない。」
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