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一瞬の静寂の後、リーゼスは口を開く。
「ともかく、詳しい話は明日だ…、明日、話をしたい。」
咲良は少し面倒臭そうに、
けれども仕方ないといった感じに返事をする。
「…わかった、何時頃に行けばいい?」
「いつでもいい…、待っている。」
リーゼスはそれだけを言って通話を切る。
―――
――
―
翌日、咲良は“会社”のロビーにあるソファに座っていた。
「…………。」
咲良の所属している“会社”には様々な人種、経歴の人間がいた。
だが咲良にとってそんな事はどうでもよかった。
咲良にとって“会社”は生きるために利用していただけに過ぎないし、ソコに所属する人間の事をいちいち気にしていなかった。
「What is your sex?」
(貴方の性別は何ですか?)
この時までは――、
そもそも、咲良の体格は男にしては華奢で、尚且つ容姿は中性的な面立ちだった。
咲良自身それほど気にした事はなかったが、
こうもあからさまに指摘されたのでは、
さすがの咲良でも少しはイラッとするものである。
ならば、と思い咲良は声のした方に顔を向け、
不機嫌さを隠す事無く言葉を放つ。
「Does a woman catch sight of me at your eye?」
(お前の眼は俺が女に見えるのか?)
振り向いた先には口元をニヤニヤと明らかにこちらをバカにした黒人の姿がいた。
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