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戌の刻を過ぎて月の光に照らされながら長屋へと帰る途中冷たい風が通り過ぎた摩利の身体がブルッと震えた。
お寺の前で立ち止まると散りゆく桜の花弁を摩利はぼんやりと眺める。
『ジャリ!』
摩利の背後で忍び寄る足音がする。
「水門陽炎様で?」
摩利が振り向くと左目に刀傷を被い薄汚れた男が立っていた。
「何か用か?」
摩利の言葉を聞きもう一歩歩み寄る男
「へい土方様から明日お会いしたいと言付けを頼まれまして」
「土方さんから?」
男は又歩み寄ると摩利の左側に並び顔を見てポツリと呟いて来た。
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