第一章 ネズミの怒り

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 手紙と聞いて、カスケンはあることに気づいた。それはさかのぼる事一週間前、国王宛に一通の手紙がやってきたことを、今はっきりと思い出したのだ。差出人の名前は、根津チュー太郎。それが彼ということか。 「少々お待ちください。ただいま国王に、確認のお電話をいたします」  カスケンはそういって城に戻ると、国王の携帯に電話を入れた。  二回のコールの後、国王が電話に出たので、カスケンは来客があったことを伝えた。 「来客? 今日は誰も来ないはずだが」  国王はそういうと、電話を切ってしまった。  カスケンそれを聞いて、たいそう慌てた。あの手紙を、国王は見ておられなかったことに。  はてさて、どうしたことか。カスケンが考えていると、突然、携帯に電話がかかった。電話の相手は国王で、これから戻るという事だ。 「わしに来客が来ておるのだったら、会わないわけにもいかぬ」  国王は一時間後に戻ることを彼に伝えてほしいといった後、電話を切った。     二  しばらくして、イステム四世が城に戻ってくるのが見えた。手には大きな荷物を抱えて。待たせたお詫びということだけど、本当の意味はわからない。 「して、来客は今、どこにいらっしゃる?」
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