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「というわけで、ようこそシンデレラプロへ!社長の深瀬だ、久しぶり!」
「あぁ、ども」
「どうした?元気ないな藤原ぁ。なんか嫌なことでもあったか?」
「いや、そういうわけじゃ....まぁ気にしないでくれ」
「ふーん。まぁ、お前がそう言うなら話しを進めさせてもらうぞ!」
「あぁ、よろしく頼む」
「とりあえず、うちの事務員のちひろちゃんから詳しく聞いてくれ、オレはこの後仕事があるんでな」
「そうなのか、わかった」
「んで、オレからは一点だけ注意して欲しいことがあってな。以前うちにいたプロデューサーの話し」
それは、とても残酷な話しであった。
そいつはアイドルに特訓をさせ、一時はユニットのリーダーにまでさせ、大事に育てていた。
ところが、売れてきたある日、彼女を突然ユニットから外し、仕事も減らした。
入社してから、初めて担当した思い入れのアイドルだと社長にも言っていたのにも関わらず、彼はその子に少しずつ冷たくなったそうな。
そして、その子は努力もプロデューサーへのアピールも虚しく移籍することに。
その時の様子は、ハートの容器にたくさん詰まった思い出に穴が空いたように、すべてが無になった。
そんな顔をしていた。
移籍後、彼女はもう表舞台には立っていないそうだ。
「というわけだ、そいつは今も他のプロで優秀なプロデューサーになっている。しかし、どうもそのことだけは引きずっている。
オレが、もっとちゃんとしたプロデューサーならってな。
だから、お前には同じ過ちを繰り返さないようにしてもらいたい。
頼めるか?」
「あぁ。それに覚悟しとくよ。聞いといて良かった」
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