第5話 ベビーフェイスなセクハラ上司

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 ◇◆◇◇  月曜日。  あの後の休日をどうやって過ごしたのか、よく覚えていない。  ひたすら自分を嫌悪して、そんなことを相談できる友達さえいないことを自覚させられた。  通常より一時間早く出社する。  安藤はすでに来ていて、ぽんと紙切れ一枚を渡された。 「お前の実力はちゃんとわかってるから」 「……席、片づけます」  会釈して部長室を後にする。慰めの言葉なんていらない。  ちらりと紙に目を走らせれば組織改編に伴う人事異動という通達内容が書かれていた。  四月の組織改編に伴い、わたしが所属していたマーケティング部営業二課はなくなったらしい。  つまり、わたしの元いた部署が主任というポストごとなくなってしまった、いわゆるリストラということ。  リストラは合法人事だから監査には引っかからない。  で、新しく立ち上がったマーケティング部システム営業二課に異動。  ちなみにわたし以外の役職ある人間は横移動。  ただし、システム営業二課主任のポストだけは、わたしじゃなく新しい人が就任するというわけ。  だから違法な降格人事ではないけれど、実質的な降格ということ。  何がシステム営業課よ!  組織ってやることがせこい。
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