第1話 残酷な辞令

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「鬼っ」 「辞めるなんて言うなよ。お前がいなくなったら寂しいよ」 「やっ」    避ける暇がなかった。  安藤はすばやくわたしを引き寄せると頬に短くキスをした。 「そういうことだから、よろしくな」  魅惑の笑みを投げ掛け、ひらひらと手を振って安藤は会議室を出て行った。 「何するのよ!」  叫んでみたけれど届くはずもない。  きっと聞こえたって笑い飛ばすだけだろう。  最低。  来週には笑い者になる。  絶望して立ち尽くすしかなかった。
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