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「鬼っ」
「辞めるなんて言うなよ。お前がいなくなったら寂しいよ」
「やっ」
避ける暇がなかった。
安藤はすばやくわたしを引き寄せると頬に短くキスをした。
「そういうことだから、よろしくな」
魅惑の笑みを投げ掛け、ひらひらと手を振って安藤は会議室を出て行った。
「何するのよ!」
叫んでみたけれど届くはずもない。
きっと聞こえたって笑い飛ばすだけだろう。
最低。
来週には笑い者になる。
絶望して立ち尽くすしかなかった。
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