白い猫から続く道ー1

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 猫ってパンを食べるのだろうか。と考えていると白い猫がパンと上から見下ろす人間を見比べて目の前のパンを食べ始めた。  コーヒーを飲みながら智弘はその様子をジッと眺めていた。 「お口に召したようでよかったよ。じゃ、俺は仕事に戻るからごゆっくり。」  人から見ればひとり言を呟く怪しい人間だが、フッと猫は鼻を鳴らしまるで「頑張ってこいよ。」と言っているようにも見えた 「19時30分か。」  会社に戻り残っていた仕事を片付けてた智弘が呟いた。 「ひとり言が多くなると老けるのが早いぞ。」  後ろを振り向くとオールバックの髪型がトレードマークの部長が立っていた。 「お疲れ様です。学生から見たら28歳も立派なオッサンですからね。」 「おいおい。それじゃ45歳の俺はもう初老か。」  ガハハッと豪快な笑い声を出した。 「今日の仕事は終わりか。」 「はい。今日はもう帰るところですが何かありますか。」 「何かというわけではないがたまには飲みにでもどうかなと思ってな。」 「今日は遠慮させて頂きますよ。女性達に囲まれる場所へは他の奴を連れていってやってください。」  部長が飲みに行くと言ったらキャバクラの誘いということは社内では誰しもが知っていることだ。 「そうか、たまにはお前と行きたかったんだがな。」  本心でそう思っているのか豪快な笑い声を出しながら今にも死にそうな表情うをしながらパソコンと向き合っている後輩の元へと歩いて行った。 「ご愁傷さま。」  どう見ても仕事が終わっていなく必死にキーボードを打ち続ける中、強制的にキャバクラへ連れて行かれる後輩に呟いた。 「お先に失礼します。」  後輩がこちらに助けを求める前に鞄を手に持ち足早に扉から出て行った。 「白井さーん。」  扉の向こうから後輩の叫び声が聞こえているような気がするが、智弘は気にせずに会社を出て行った。 「さて、週末だし久しぶりに飯でも作るか。」  帰り道にあるスーパーで〈今日は美味しい肉の日~〉と良くわからない歌が流れていたおかげで肉を食べたくなり生姜焼きの材料をメインに購入してからスーパーを出た。  スーパーの袋と鞄を片手に持ちゆっくりと夜道を自宅へと歩いた。  2分ほど歩いていると道の真ん中に昼間見た白い猫がこちらをジッと見ていた。 「よう。また会ったな。また食べ物が欲しいのか。」
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