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くっそ、負けた!
悔しがる少年を解放すると、少女はステッキの月でリボンを足首だけ残してカットした。
「もう魔法少女だから後戻りなんて出来ないんですからねーっだ!」
「ぐ……」
何も言えなくなった少年を机の向かいに座らせ、少女は再びノートに向かった。
少年が覗き込んだノートには少年の名が2回書かれていて、各自『声が出なくなる』、『元に戻る』と書いてある。
もうこんな訳の分からないモンを使いこなしてやがる。
少年はステッキの絵の横に書き足された『魔法のステッキ 思い通りに動く』と言う文章を見ながら疑問を口にした。
「俺の時は何も起こらなかった癖に……」
「だって最初に拾った人じゃないですし。」
「ああ?」
「最初に拾ったのあたしですよ!」
にこやかに少女は告げた。 思い返してみれば、確かに……
『ほら! これやっぱりあのノートですよ!!』
「…っあ"ぁもう!! 何でお前拾っちゃうんだよ!!」
「何ですか? 今更負け惜しみですか? 羨ましいんですかー?」
調子づく彼女の頭に手刀をかまし、少年は諦めの溜息を吐いた。 こうなったら、余計なピンチを迎えないよう監督してやるしか無い。
「ばかすか殴らないで下さいよもう」
「やかましい」
少年はもう一度、深い溜息を吐いた。
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