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「で? その落ちて来たノートはどこにあるんだ。」
「中庭の芝生ですっ!!」
グイグイと少年の手を引き、少女は進む。
校庭と校舎の間にあるスペースを生徒達は中庭と呼んでいた。 芝生と通路が整備され、芝生の緑にセメントの白が美しく映える。
だが今日は確かに、その2色の中に1つ、異色が混じっていた。
「死神のノートみたいな感じに落ちて来たんですよ! ピンク色だから、目立っちゃいます! 早く回収しないと大変な事に!!」
「俺は、お前が回収した方が大変な事になると思うが。」
そんな話をしながら2人は歩み寄る。 ただぽつんと存在する濃いピンク。 大学ノートではないな、と思いつつ足下のノートを少年は眺めた。
日曜の朝8:30から始まる、正義・友情・勝利がスローガンな幼児向け魔法少女モノアニメの表紙。 ああ、知らねえキャラが並んでやがる。 カラフルな頭してんなぁ。
少女がノートを拾い上げ、少年に突きつける。
「ほら! これやっぱりあのノートですよ!!」
「俺はこれを死神のノートだとは認めねえし、こんなモン持ち歩く奴がこの学校にいるっつう事も認めねえ。」
少年の目は間違いなく、軽蔑の影を宿していた。
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