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「そんな、どこの脂ぎった豚以下な野郎が頬擦りしたかも知れねぇモン持つな。 汚ぇ。」
不快感を露わにして少年は少女からノートを奪取した。
「ノートに罪はありませんよぅ! 脂も土も、拭けばとれます! あと表紙を良く見て下さい。」
促され、奪い取ったノートを表紙を見る。 普通ならば、『こくご』や『さんすう』などと印刷されるであろう白い部分に、全く別の文字が並んでいた。
『まほうのーと』。
「何だこりゃ。」
訳が分からん。 そう続けて、少年は裏表紙も見た。 どう見ても、市販の幼児向けキャラクターノートだ。 しかし、こんな『まほうのーと』などと書かれたノートはまず売ってないだろう。
字は手書きでは無く、きちんと印刷された物だし……まさかこれは精巧に作られた同人誌の類いなのだろうか。
表紙を開いて、中身を確認する。 少女はそれを覗き込み――
「あ! How to use ありますよ!!」
「……嘘くせぇー…。」
見返しの部分に、死神のノート宜しく使い方が書かれていた。 これもまた印刷であり、良く出来ている。
ただ幼児向けのスタンスを崩す気が無いのか、漢字は小1レベルの簡単な物で、他は全て平仮名、片仮名で書かれている。
漢字と片仮名にはルビが振られていた。
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