1・武家殺し

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十五の年から父親の村山内蔵助(くらのすけ)と供に町方定廻りに務め、はや十六年になる。 七年前にその父親が隠居(いんきょ)して以来、親の役職であった与力職を世襲し、それからは彼が町方定廻りの指揮を取るようになった。 長く町の治安を守って来た男として研(みが)いた勘は、この事件が単純な物ではないと察しをつけている。 「仕方がない……あのならず者を動かすか……」 慎之助鷹利は調べ終えた現場を部下に任せ、ひとり町へと向かった。
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