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辺りが明るい、今日は満月で外灯がいらない程
に道を照らしている。
春だが夜になれば気温差でかなり寒い、夕刊の配達員は
ジャケット着て何時ものコースをカブバイクで走行している。
前には数台の車が並んでいて、この時間は混雑するにはまだ早すぎる
と腕時計を見て時間を確認する。
何か事件でも起きたのかと気になるが、配達員は困り果ててしまい
どうにもならない状況なので配達先にはお詫びの電話をしなくては
と、ゆう鬱になりそうだった。
数キロ先から何から逃げる人々、配達員も何が起こったのか分らなく
かん高い悲鳴が木霊した先を見ると。
突然車が次次と真っ二つに割られていくではないか、かろうじて見えたのは
スーツ姿の白人が優然と割られた真ん中を歩いていた。
(い、いったい何なんだ!?)
いかにも殺意のオーラがにじみ出ていた、その鋭い眼光が配達員に
向けられると恐怖でしゃがみ込んで悲鳴をあげる。
「スミマセーン、ミチヲ教えてグダサーイ」
「…き、起動学園???」
「イエース、イエース」
理由も分らず教えたが、多分…生命が危ういと本能で
悟ったのだと思う、偶然気づいたのは白人が恐ろしい程に
異質なオーラを放っていた。
まるで獲物を見つけた獰猛な獣のように目だけが
不気味笑っていた。
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