挫折、それから転機

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「田中ー!! 一発かっ飛ばせー!!」 ピッチャーが投球フォームに入る。 僕はキャッチャーミートを構える。 ピッチャーが振りかぶり、球を放った。 速球を必死に目で追いかけ……。 ――スドン ミートをつけた左手の手のひらに鞭で叩かれたかのような痛みが走る。 「ストライク!! ツーストライク、ワンボール!!」 「落ち着いていけー!!」 僕は立ち上がって受け止めたボールをピッチャーに投げ返す。 ピッチャーがボールを受けたのを確認して、もう一度、しゃがんで次の投球を待つ。 バッターがバットを担いで、ピッチャーは投球フォームに。僕もそれを見てミートを構える。 放たれたボールは低い軌道描き、バッターより少し後ろ、僕の目の前で地を叩く。 まずい!! とっさにミートを修正するが、遅く、そのまま勢いよくバウンドして股間に入った。 「ってぇ……!!」 股間が激しい鈍痛に襲われ、思わずうずくまってしまった。
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