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11の続き。
周りには、雑草が生えている。
これか。
見れば、古いが大きな焼却炉があった。
確かに、最近、使われた形跡は無い。
私は、しばらく、その焼却炉を眺めていた。
10、もう、お金の心配はしなくてよくなった。
贅沢品は数あれど、
やはり、お寿司だろう。
会社に勤めていた頃は、ちょくちょく行っていたが、
最近は、めっきり行かなくなった、
いや、
行けなくなった。
スーパーで巻き寿司を買って帰った。
「チヨ、今日はお寿司だよ」
妻を起こし、食べさせた。
「こんな贅沢な物、いいの?」
「いいんだ。さあ、いっぱいお食べ」
「うん」
妻は、おいしそうに食べていた。
私も食べる。
懐かしい味だ。
その味と同時に、
その時代が蘇る。
若かった、あの頃、
幸せだった、あの頃。
老後の心配なんて、全然していなかった。
13へ。
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