平穏

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「明日から修学旅行です。」 放課後のHR、何の変哲もないこの教室の一室で、俺らの担任、阿食 純二(あじき じゅんじ)先生は言い放った。 それと共に歓喜の声をあげる生徒達。 もちろんそこに俺は含まれている。 一学期の時から計画をしてきたこの修学旅行を楽しみにしていない生徒などいるわけがない。 皆、一様に喜びを表していた。 「おい!皆!おやつは一人500万円までだぞ!」 「パンツ忘れてくんなよ!」 「パンツ被ってくんなよ!」 テンションの盛り上がったクラスで笑いが生まれる。 阿食先生も、この時ばかりは私語を注意せずに笑って受け流してくれていた。 「はい、まぁ待ちに待った修学旅行だけど事故等ないよう気を付けるように。 また明日、説明するから今日はこれで下校とします。」 一通り騒ぎが収まったところで阿食先生が綺麗にまとめあげ、放課後のHRは終わった。 終わって間もなく、生徒たちはテンションを下げることを知らずにまたこの空間に騒音が鳴り響き始める。
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