王子様なんていない

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先生の声とともに一名ずつがテストの結果を受け取る。 私も、名前を呼ばれてテストの結果を貰いに行く。 かすかな期待と不安を込めて答案用紙を見れば、そこには48点の文字。 …まぁこんなものか。 さっさと答案用紙を机の中に突っ込むんで机に頬杖をつく。 そこに、ちょうど優姫が返ってきた答案用紙を持って横にきたから、私は優姫に小声で問いかける。 「優姫、どうだった?」 「うふふ。内緒。」 微笑みながら自分の桜色の唇に人差し指をあてて、ポーズをとると、優姫は自分の席へと戻っていく。 あの笑みはいつもと同じで相当良い点数だっただなと想像がつく。 優姫は、可愛いだけじゃなくて成績も良い。 「今回は全体的に点数が良くなかったから、50点以下は再テストするぞー。」 教壇から響く先生の声に、私は慌てて机に突っ込んだ答案用紙を引っ張り出した。 しかし、何度見たって48点には変わりはない。 「再テストの日は担任を通じて伝えます。 それでは今日はこれで終了!起立、礼!」 私は力なく立ち上がって、皆と一緒に「ありがとうございました。」というと、もう一度座りなおす。 たった2点…。 それが足りないだけで再テストだなんて。 なんてついていないんだろう。
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