王子様なんていない

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次の授業は数学Ⅱだった。 授業なんて、20分もすれば集中力が切れてくる。 とくに、放課後一歩手前の五時間目なら尚更。 「じゃあこの問2解いてみて。 真剣に解かないと、あてるわよー。」 先生の声とともに、、ページをめくる音があちこちから聞こえる。 私も真剣に取り組もうとしたけど、問題を読んだだけで考えるのを放棄した。 こんなもの解けるわけがない。 「じゃあ、今日は15日だから…相馬君!」 「せんせー。難しくてわかりませーん!」 指名されたと同時に手を上げながらそう叫ぶ相馬に、クラスが笑いに包まれる。 「仕方ないわねー。じゃあその後ろ、桜井さん!」 「え、まだ解けていませんけど…。」 そう言いながら黒板の前に立った優姫は、私では思いつくことの出来ない長ったらしい数式を書いていく。 先生が口を出さないところを見ると、優姫は正解を導き出しているのだろう。 「はい、さすが桜井さんね。席に戻っていいわよ。」 優姫が書き終わったと同時に、先生が笑顔を見せる。 それと共に、クラスからは感歎の声がもれる。
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