王子様なんていない

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「さすが姫だよねぇ。」 そんな声が教室内にもれた。 優姫の姫主張は意外とすんなりクラスで受け入れられている。 しかし、それは優姫の姫主張を彼女なりのユーモアか、ぶりっこ要素の女の子だと大半のクラスメイトが受け止めているからだと思う。 入学当初は孤立した時もあったけれど、今ではすっかりクラスに溶け込んでいる。 しかし、皆は勘違いしていることを忘れちゃいけない。 優姫は冗談ではなく本気で自分をお姫様だと考えているのだ。 優姫に出会った小学生の頃、彼女はすでにお姫様を自称していた。 それからずっと、高校に入学してからも優姫はお姫様だと自称している。 それも、王子様が迎えに来るという夢を抱えて。 私は、優姫の夢を実現させてしまった変態男を思い出す。 コンタクトを忘れたせいでよく見えなかったけれど、私はできる限り細部に渡るまで思い出そうとする。 確かに、金髪でかぼちゃパンツで青色のマントを羽織ってった王子の姿だった。 でも、今のご時世ならコスプレショップで手に入れられそうな服装だし、金髪だって髪を染めれば問題ない。 ただ、朝の時間に普通の人間が行き倒れになっているかと問われれば、やっぱり考えてしまうところだ。
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