あなたはわたしの王子様

王子様なんていない

実は、優姫は本当にどこかの国のお姫様で、彼も実際にどこかの国の王子様だったりして。
…ってそんなことないよね。
私まで優姫の妄想の世界に入ってしまってどうするよ。
アニメや漫画じゃあるまいし。
優姫も、外見だけで見知らぬ人を王子様だと思うなんて単純すぎる。
もし、あのまま「一緒に来て。」なんて言われて優姫が言われるがままに男の後を追いかけていってしまっていたら？
その先に最悪の結果が待っているかもしれないのにと思うと、背筋に寒気が走る。
優姫が危ない目に遭う前に、彼女の目を覚まさなければ。
私がそう決心すると同時に、五時間目終了のチャイムがなった。