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机の上にある教科書を鞄の中に入れていると、後ろから肩を叩かれた。
振り返れば、同じ弓道部に所属する友人、山本真由美(ヤマモト マユミ)がいる。
「梓。一緒に部活行こうよ~。」
「いいよー。あ、でもちょっと待って。」
私は優姫の所へと急ぐ。
私は弓道部。優姫は吹奏楽部だ。
お互い、部活が終わる時間はその日によって違うことが多いので、帰る前には一声かけるのが暗黙の了解になっている。
「優姫、今日は一緒に帰れそう?」
「どうかしら…。愛ちゃん、何か知っていて?」
愛ちゃん、と呼ばれた松川愛子(マツカワ アイコ)は、優姫と同じ吹奏楽部の部員。
「あれー?姫、今日の朝言わなかったっけ。」
不思議そうな顔をしながら、愛子は話を続ける。
「今日は、学校祭に演奏する曲を決めるから、遅くなるかもって言った気がするけど。」
そんな話は今初めて聞いたという顔をしながら、優姫はうなづいた。
「ですって。今日は無理かもしれないわ。先に帰ってもらっていいかしら?」
「わかったよ。じゃあ、部活行くね。優姫も部活頑張って。」
「ええ。ありがとう。」
優姫は笑顔を見せると、愛子と一緒に音楽室へと歩いていった。
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