王子様なんていない

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私は優姫とわかれて、部室である弓道場に向かう。 弓道場に入れば、待ってましたとばかりに男の先輩が私の目の前に現れた 「工藤さん、あの話だけど考えてくれた?」 「いえ、全く。」 私はうんざりしながら答える。 そして、いつものやりとりを繰り返すはめになる。 「工藤さん。もう工藤さんだけが頼りなんだ。」 この先輩は、弓道部の先輩である横西祐司(ヨコニシ ユウジ)先輩。 「いくら先輩の頼みでも無理なものは無理です。」 私は頑として譲らない。 それもそうだ。だってこの先輩の頼みというのは…。 「頼むよ。桜井さんに俺のことを紹介してくれるだけでいいんだ!あとは俺のほうで上手くやるから。」 そう、優姫を紹介してくれという頼み。 こういう頼み事をされることにはもうとっくに慣れている。 しかし、今回は相手が先輩という立場を利用してくるせいで、断るのにも一苦労なのだ。 私は横にいる真由美に目線で助けを求める。 すると、真由美は大きく手を一回叩いて、先輩の注意をそらした隙に、私の体を女子更衣室へと向けた。 「横西先輩、そろそろ弓道着に着替えて準備しないと、部長に怒られちゃうんで失礼しまーす。」 真由美は早口で言うと、私の手を引いて女子更衣室へと歩きだし、中へ入って更衣室の扉を閉めた。
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