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朝を台無しにしてしまう音で鳴る目覚まし時計なんかでお姫様は目覚めない。
チュンチュンチュン…。
そう。
やはりお姫様の朝は窓から差し込む朝日と、鳥の声で目覚めるという、優雅なものでなくてはね。
さぁ、今日は月曜日。
学校へ行かなければ。
お姫様にだって勉強は必要なのよ?
朝の支度を整えてから玄関を出れば、『アレクセル』が私を待っている。
「アレクセル、今日も学校までお願いね?」
『アレクセル』に乗ってペダルをこげば、爽やかな風が耳をくすぐる。
なんて気持ちのいい朝!
「優姫~!」
後ろからは私を呼び止める声。
その声に私は『アレクセル』のスピードをおとし、彼女が追いつきやすい速度にする。
「おはよ!あんた自転車こぐの速すぎ!追いつくの大変だったよ。」
少し息をきらして一気にまくしたてた彼女は私の親友、工藤梓(クドウ アズサ)。
梓とは小学校から高校までずっと一緒なの。
だから私達はとっても仲良し。
お互いのことを一番よくわかっている、まさに親友と呼べる間柄なの。
「自転車じゃなくて、ア、レ、ク、セ、ル!私じゃなくてアレクセルが早いの。」
「あー、ハイハイ。わかったからさっさと学校行こうか。」
そして私達は再び自転車のスピードをあげた。
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