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学校のチャイムが鳴り響くとともに、騒がしくなる教室。
そんな中、優姫は、ずっと窓の外を見つめていた。
その姿は、春の日差しに照らされる、物憂い顔の美少女そのものだ。
私は自分のお弁当を手に持つと、彼女の窓側の席に向かう。
「優姫ー。お昼ー。」
私が目の前に来て呼びかけても、彼女はどこか遠い目をしてほおづえをついている。
机の上を見れば、一時間目に行われた、数学の教科書とノートが開かれている。
…まさか、一時間目からずっとこの状態だったわけ?
「ゆ、う、きー!!」
名前を呼びながら机を手でバンッと叩くと、優姫がやっと私に気づいてこちらに振り向いた。
それと同時に、教室にいたクラスメイト達も何事かとこちらを振り向くが、そんなこと、今は気にしない。
そして、優姫はというと。
「ごめんなさい!私ぼーっとしてて…次は国語だったかしら、それとも物理?」
そう言いながら、机の中から物理や国語の教科書を引っ張り出そうとしていた。
「あのね、優姫…次は授業じゃなくて、お昼の時間だよ。」
「え?」
まるで、狐につままれたような顔をする優姫に、私はため息をつくしかなかった。
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