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「じゃあアンタは誰でもお世辞と称してお茶に誘うわけね!」
「そうだ!」
「そんなワケあるかぁ!」
「何だと!?」
ベッドを思い切り叩き、奴は俺の言葉を一蹴した。何でそんなことが分かるよ!
「アンタはスーツを着てたわね。じゃあ、三年生か四年生でしょ。就職活動してるはずだし、社会の常識やマナーくらい身につけてるならそんな事を口走ったりなんてしないわよ!」
うぐっ。確かにそれはそうだ。お世辞はお世辞。相手を誘うのは何かしら理由がある。でなければ不自然だ。
「つまりアンタは今、自分自身が変態だって認めたのよ!」
「そ、そうか。俺は変態なのか――ってそんなワケあるか阿呆!」
あ、危ねえ。危うく話に乗せられ自分を変態と認める所だった!
「でも、アンタは確かに言った! 変態じゃないなら何なのよ!」
「そ、それは……!」
ど、どうする。このままでは、俺は変態だという称号を自爆的に授かってしまう。何とか、何とかしないと!
「さあ、言ってみなさいよ!」
「くっ……!」
どうする、俺!
『――本日の面会時間終了の時刻となります。面会に来られました――』
! これは!
「おい、面会時間が終わったぞ。帰れ」
「なっ!」
白々しくも逃げの一手に走る俺に唖然とした表情を浮かべる少女。何かを言われる前に、俺は即座に脇にあるボタンに手を伸ばした。
「すいませーん! 面会時間終了なのに帰ろうとしてくれない人が居るんですけどー!」
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