0人が本棚に入れています
本棚に追加
数日後。
「ここが大学病院か~」
「流石に大きいわね」
「二人とも、早く行くよ」
少女は再び男の入院している大学病院にやって来た。今回は友達の二人も一緒だ。
「でもさー、大袈裟じゃない? たいした怪我じゃ無いのに病院に入院って」
「どうせ身体が弱いからでしょ。今時の男ってそうじゃない」
「……」
友人が会話に花を咲かせる最中、少女は黙りこくったままスタスタ前へと歩いていく。
「どうしたの? 静かだけど」
「えっ? ううん、何でもない」
不意に話しかけられて、ようやく自分が黙ったままだと気づいたのか少女は慌てて反応していた。
「二人共、今日は徹底的にあの男追い込むから、よろしくね」
「まっかせて!」
「再起不能にしてあげるわ」
頼もしい仲間と連れ立って、男が居る病室前へと少女は辿り着く。
そして、両隣の友人と頷き合い。
「来たわよ!」
ドアを思いきり開け放ち、病室に入った少女達は――
「あれ?」
「えっ……」
「な、何よ、これ……」
一様に表情を驚きに変えて、立ち止まったまま動かない。
彼女らが目にしたもの。それは、もぬけの殻となったベッドのみ。
確かにそこには男が寝ていた……はずなのだが。
「どうしました?」
誰もいない病室に入った少女達を不思議に思ったのだろう。一人の看護師さんが三人に話しかけた。
「あの、事故にあってここに入院していた男性は……?」
「えっ? ――ああ、その方ならもう退院された筈なのでここにはいらっしゃいませんよ」
「そ、そんな――」
呆然と立ち尽くす少女は、表情を渋面に変え唇を噛み締めていた。
退院? あの状態で退院するのは不可能だ。それでも姿を消した。つまりそれが意味するものは――
「……逃げられた」
「「!?」」
常の少女からは発せられない暗く不気味さを漂わせる声色で言葉を吐き出した少女に、友人の二人は驚愕して思わず身体を震わせた。
何コノ子怖い……。
「探し出す」
もぬけの殻となったベッドを横に少女は力強く宣言した――
最初のコメントを投稿しよう!