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研究室を後にした俺は、掲示板を確認する為広場に足を向けた。
久しぶりに来た大学だが、確認事項は主に掲示板を見るようにと促されている。パソコンだけじゃ不正確だしな。
そう思い広場までたどり着いた俺は、自らの学部である文学部の掲示板を確認しようとして、しばらく立ち止まっていた。
文学部の掲示板前で立ち止まり友人と何かを確認している一人の少女に、目が止まっていたから。
ツインテールに結った長い髪とまだ幼さを残した顔立ち。整った顔は人形のように美しく、まるで本物のような印象を抱かせる。
発育の宜しい首から下も当然に均整のとれたプロポーションで、モデルやグラビアで活躍している方々と引けをとらないであろう。
見つめれば見つめる程に、その際限無き魅力に取り付かれていくような、そんな気分になりながら見ていると。
「おっ?」
見つめていた少女が周りの友人と連れ立ってこちらにやって来るではないか。しかも明らかに俺をガン見して。
だがしかし、当時の俺は普通は考えもしない思考に至っていた。
何だ、これは。も、もしかして俺の熱い視線を受けてほ、惚れ、惚れたとか!? や、ヤベェって!
思い返しても、どうしてあんなおかしな思考に至ったのか、全く理解できない。
ともかく当時の俺は歩いてくる少女の熱い視線(タダのガン見)を受けて沸いてんじゃねぇかってな思考だったってワケさ。
そして俺の真正面まで来た少女は言ったよ。
「何ですか?」
ってな。俺はキモさ全開の口調でこう言ったよ。
「可愛いね。俺とお茶しない?」
ナンパしました人生初ナンパ。しかもスーツで。普通じゃねぇ。
生まれてこの方一度たりとしてお付き合いしたこと無い二十一才童○君の初ナンパ。流石に無謀が過ぎる。
もし、俺が俺に返すとしたら。
「寝言は寝て言え」
って言っただろう。
その意見に寸分違わず、少女も口から絶対零度の言葉を吐き出したさ。
「キモっ!」
ブリ○ド――!!
その時、全てが停止した。
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