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いや、まあ当たり前やんなぁ。馬鹿が無謀にも天才にしか出来ん高みに上ろうとして、失敗した。それだけのことやん。
そして、ここでようやく思考が正常に戻ったんだ。
「は、へ?」
あれ? 俺、今何て言った?
「ていうかアンタ誰よ?」
「こっちジロジロ見てさ」
「正直ウザいんだけど!」
突き刺さる言葉という凶器。
思考が混乱していた俺も、まあ言われる事は仕方がないと頭では分かっていた。
だってねぇ。そうだろ?
普通ジロジロ見られたら居心地悪いに決まってる。ましてや男が女に向ける視線だ(但し例外有)。けどさ、だけどさ。
そこまで言わなくても……。
「大体さ、なんな訳?」
「いきなりお茶しよう? ハッ、百年早いわ!」
「死んでから出直してきなさい」
頭の中で何かが弾けた。
「んだとコラァ! 黙って聞けば言いたい放題ぬかしやがって! 大体なぁ、人の嘘を本気に捉えて勘違いしてんじゃねぇ!」
逆ギレしました。いやね、もう我慢できなかったわ。
「さっき言った言葉はな、全部がお世辞だっつの! 誰がてめぇらガキに興味持つかよ! 早いのはお前らだ、マセガキ共!」
早口に捲し立ててハッとした。不味い、今のは言い過ぎだ。何かあってもおかしくねぇ。
恐る恐る少女達を見る。アレ、何だろう。瞳にうっすら膜があるにも関わらず、背後からは何やら般若のような揺らめきが見え――
「言ってくれんじゃない。この、童○野郎――!」
「おわぁっ!?」
「最低!」
「うぎっ!?」
「死にさらせぇ!」
「ギャアアアム!」
怒りを爆発させた少女の鉄槌が俺を社会的に抹殺しようと迫る!
生憎こっちはまだ人生の少しもいい思いをしていない身の上だ。こんな所で終わってたまるか!!
俺は自分の力を最大限利用し、人生ブレイカー達からの猛攻撃を紙一重で躱すと。
「退散!」
一目散に広場をトンズラする。掲示板見れなかったけどいいや。後で何とかすればいいさ。
「待て――!」
「逃がさないわよ!」
「陸上部で鍛えた足ナメんな!」
ちょ、追ってくるのか!? つか最後の奴陸上部とか勘弁してや!
こうして、俺と少女達の壮絶な鬼ごっこが始まった。
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