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「とにかく、早く教室に行け」
「えー…、だって、つまんない」
促したものの、かなり不服そうにしている。
「いや、ダメだ。
早く入れ。これから色々説明あるんだからな」
「やだ。話しとか退屈過ぎる」
何回も言うが、仮にもこいつは入試で3位だった秀才だ。
何故か、杜若零は行動がそこら辺にいる馬鹿と同じだ。
どうせ、勉強もしてないだろう。
零の態度は必死で試験勉強をした奴の様じゃない。
こいつは、余裕綽々という感じだ。
俺からすれば羨ましい天才。
憎いぐらいの。
九条院さんはそれ以上だろう。
ってか、学年2位は誰なんだ?
「あ、2位はね、藍の親友のね
結城佳奈って子」
ん?何でわかるんだ?
「やろうと思えば覗けるんだよ。
藍が教えてくれた~」
読心術…
いや、九条院さん…とんでもない術を教えたな…零に。
「あぁ…そうか」
「うんとねー…佳奈はA組だよ」
あぁ…九条院さんと同じだな。
「それで零がB組なんだろ?
お前はどんだけ出来なかったんだよ」
「えー…だって、面倒だったし。
まぁ、適当にちゃちゃっと片付けたらそーなった」
ん?試験の問題を適当に片付ける?
そんなことがあっていい訳無い。
しかし、現にこいつは、上位だ。
「ったく…真面目にやれよ。
ほら、早く行け。もうすぐ始まるだろ」
「えー…、郁人君だけだよ。遅れて損するのは」
「は?」
「だって、私は、遅れても説教とか無いよ」
あー…上位の生徒は特別なんだっけ。
残念ながら適用出来るのはトップ5までで、俺は、ランク外だ。
「あーはいはい。
どうでもいいから教室行け」
「冷たいなぁ…教室行けばいいんでしょ!あ、郁人君後でね~」
廊下を当然の如く零は走って行った。
零はとんでもない常識破りの奴だと確信した。
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